1.大人の発達障害:自閉症スペクトラム障害(ASD、アスペルガー障害を含む)、注意欠如・多動性障害(ADHD)
対人関係や仕事や日常生活の困難の背景に発達障害が影響している場合があります。「発達障害心理査定ドック」をご希望される方のために、ここで少し詳しくご説明いたします。
自閉症スペクトラム障害には、社会性(対人関係)の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害(こだわりの強さ)という特徴があります。具体的には以下のような以下のようなものを含んでいます。
・集団活動が苦手で、「空気が読めない」。
・対人関係がうまくいかず、相手の言っていることや感じていることを理解できない。
・自分の言いたいことや感じていることをうまく表現できない。
・対人的相互反応で、視線が合わない、身振りや表情の理解や使用が難しい。
・人間関係を発展させ、維持し、それを理解することができない。
・自分の興味や行動パターンに強いこだわりがあり、想定外の行動に抵抗がある。
・不安障害や抑うつ障害を併発しやすい。
※カウンセリングや心理療法を通して、自己理解を深め、不安や抑うつを軽減し、家族による理解を促進することなどが求められます。また、落ち着く環境を整え、聴覚情報よりは視覚情報を活用し、抽象的な指示よりは具体的な指示を活用するなど個人の特性に応じた工夫が必要となります。
一方、注意欠如・多動性障害(ADHD)は、不注意と多動性・衝動性が主たる特徴です。
不注意は、課題から気がそれること、忍耐の欠如、集中し続けることの困難、およびまとまりのないことを意味しています。具体的には以下のようなものを含んでいます。
・うっかりミスが多い、忘れ物が多い。
・注意を持続できない、外的刺激によって気が散りやすい、
・話しかけられても聞いていないように見える。
・指示に従えず課題をやり遂げられない、課題や活動を順序だてることができない、精神的努力の持続を要する課題(宿題、報告書作成)に従事することを避ける。
多動性は、不適切な場面での過剰な運動活動性、過剰にそわそわすること、しゃべりすぎることであり、成人では、過剰に落ち着きがないこととして表現される。
衝動性は、事前に見通しを立てることなく即座に行われる、自分に害となる可能性の高い性急な行動である。
多動性・衝動性では、具体的には以下のようなものを含んでいる。
・じっとしていられない、静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
・落ち着きがない、しゃべりすぎる。
・質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう、自分の順番を待つことができない。
・ひとつの課題にじっくり取り組んだり、集中できない。
多動性は、成長に伴い軽減するが、落ち着きのなさ、不注意、計画性のなさ、衝動性に伴う困難は持続しやすい。また、不安障害や抑うつ障害が併発しやすい。
※カウンセリングを通して本人の自己理解を深め、不安と抑うつを軽減し、本人の自己評価を回復していくことが求められる。また、集中力を妨げる刺激を減らし、仕事の優先順位をつけ、課題の進捗状況を視覚的に把握できるような個人の特性に応じた工夫が必要になる。家族や周囲の人たちが本人の特性を理解できるように援助することも重要である。
2.発達障害心理査定ドック
品川心理オフィスでは、大人の発達障害心理査定ドックを実施しています。アスペルガー障害を含む自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害(ADHD)などの発達障害についての心理査定のパッケージです。
初回面接では、症状や問題について詳しくお伺いいたします。続く2回目(または3回目)の面接で各種心理検査(知能検査WAIS-Ⅳ、自閉症スペクトラム障害心理検査、注意欠如・多動性障害心理検査)を実施します。3回目(または2回目)および4回目の心理査定面接では、生育歴についてお伺いし、パーソナリティ形成、症状・問題の形成過程について検討いたします。4回目の面接では、心理検査報告書を差し上げ、全般的なフィードバックを行います。5回目の心理査定面接では、心理検査の結果の質疑応答、心理査定面接全般についてのフィードバック、カウンセリング、助言指導を行います。全体として4回または5回の面接となります。特に心理検査・心理査定を専門とする臨床心理士・公認心理師(大学教員)が担当いたします。
知能検査WAIS-Ⅳを希望されない方には、通常の初回面接、心理査定面接の中で、自閉症スペクトラム障害心理検査、注意欠如・多動性障害心理検査などを実施することが可能です。この場合は、それぞれの心理検査料がかかります。
発達障害心理査定ドックは、どなたでもお受けいただけます。まずは初回面接をお受けください。相談申し込みの際に、「発達障害心理査定ドック希望」とお知らせください。
また、医師の紹介状をお持ちの方には、医師向けの報告書も一部差し上げます。こちらは料金はかかりません。